鶴の本返し

基本読書日記。たまに鶴の渡来地、鹿児島県出水市からの徒然日記。

26冊目。読書の秋ということで、ぞくぞく更新~クジラアタマの王様~

 読書の秋ということで、連続更新です。

 ということで、本の紹介と言っても、ネタバレしないように紹介するのは難しいので、紹介になっていないような変なブログになっているのは知っています。

 でも、面白かったということを伝えたいので、書きます(笑)

 

 さて、今回紹介する本は

 『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎  NHK出版

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 製菓会社に勤める岸は、偶然見ていたテレビで売れっ子ダンスグループの小沢ヒジリが自分たちのお菓子を好きだと言って、宣伝していたのを見て喜んだが、そんな中、そのお菓子に画びょうが入っていたとクレームが来て、岸はその対応に追われる。

 そのクレームをした人の夫の議員池野内征爾が、突然ハシビロコウの画像に見覚えはありませんか。お話しできませんかと岸にメールが届き、岸は胡散臭いと思いながら、会いに行く。

 

 夢と現実が混ざり合い、伊坂さんの独特のワールド前回の不思議なSFストーリー。

今回は、小説と漫画をり交ぜてあって、面白い試みをしている。

 特に私に夢中にさせたのが、夢と現実が繋がっているというところ。

 実際私も夢をかなり見る方でして(眠りが浅いのかもしれない)現実に影響をさせていることはないが、時々全く知らない人と話していたり、年に何回かしか見ない夢が、見るたびに少しずつ更新されることもある。夢は本当に何を意味しているのだろうかと思う。

 この作品はその、夢と現実を繋げ、影響しあっているというのが面白い。

 

「短期的に非難されても、大局的には大勢の人を救う方を選ぶべきじゃないの?」

 相変わらず出てくるキャラクターも素敵だし、面白い。こんなセリフが出てくるぐらいに、ストーリー展開もまさかそんな展開になるなんてということになる。

 それが、伊坂さんらしくて、本当に良かったです。ぜひ、読んでみてください。

 

 それでは、ごきげんよう

 

 

25冊目。ツルは来ています~白銀の墟 玄の月~

 お久しぶりです。

 いつも気が付いたら更新するというスタンスなので、前回から3か月たっているなんて。もう年の瀬に近づいているし、ツルはもう結構来ています。もうそんな時期かと思っているところです。今年はあまり全体的に読書できていませんが、最近はメキメキと読書力が出てきています。といっても、好きな作家さんの本を読んでしかも面白かったせいでもあります。

 

 さて、本の紹介は、小野不由美十二国記の新刊です。文庫は4冊に分けてでましたね。私は初めて十二国記読んだのは、意外と去年だったりするので、待望していたわけではないのですが、初めて読んだときは思わず一気に読みしてしまうくらい面白かったです。十二国記は、私の好きな成長物語でもあるし、それよりも、世界観の作り込みが詳細まで凄いです。

 そして、何より久しぶりの新刊に多くの人が盛り上がっていたことです。作品はずいぶん前の作品なのに魅了して愛され続けている。しかも、中高生のおすすめの本の中には必ずと言っていいほど、ずーっとこの作品が入っています。

 

 

 『白銀の墟 玄の月』小野不由美 新潮社

 

 

https://www.amazon.co.jp/白銀の墟-玄の月-第一巻-十二国記-新潮文庫-小野-不由美/dp/4101240620/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E5%B0%8F%E9%87%8E%E4%B8%8D%E7%94%B1%E7%BE%8E+%E5%8D%81%E4%BA%8C%E5%9B%BD%E8%A8%98&qid=1574150206&sr=8-3

 

 さて、今回は、前の巻からずっとあまりいい噂を聞かない戴国がメイン。

 ようやく、泰麒が帰ってきたが、肝心の王である驍宋が行方不明。

 王を探す旅に出るというのが、大筋ですが、四巻に分けられているために、王が全然見つからない。探しても探しても見つからないし、戴国は一体何が起きているか分からない。目に見えておかしいのは分かるが、原因が分からない恐怖。

 

 1、2巻は10月発売で、3、4巻は11月発売と分けられていて、まんまと商売上手の出版会社にはめられていましたが、1、2巻読んで、3、4巻を私は待望していましたね。田舎なのに、十二国記は発売日に書店に並ぶ小野不由美さんの凄さを忘れないです。

 

 ようやく手に取った3、4巻。仕事で忙しかったですが、一気読みです。

 最後の4巻は、本当に怒涛の展開です。目が離せなかった。そのせいで夜更かしをしましたけどね。

 

 ぜひ、このシリーズを読んでいない人は、シリーズ初めの『月の影 影の海』をおすすめします。特殊な設定なので、シリーズの順で読んだ方が分かりやすいと思います。

 

 今回の新刊で、この特殊な設定に違和感を覚える描写があって、前からもありましたが、特に色濃く描いていたので、今後はそのところの話もあるのかもしれないですね。

楽しみです。

 

 読書の秋です。皆さんが素敵な本と出逢えることを祈っています。

 

 それでは、ごきげんよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

24冊目。トカトントンと聞こえる鬱々とした時期~図書室のキリギリス~

お久しぶりです。

 気づけば8月になっていて、全く更新していないことに思い出し、書き始めたところです。

 2月の更新を見れば、だいぶん前向きなことを書いている自分に驚きです。きっと、2月の自分もこんなに鬱々した自分になっていることを知ったら、驚くと思うことでしょう。現在、仕事もプライベートも上手くいかず、八方塞がりです。

 こういう鬱々としたときに思い出すのは太宰治の『トカトントン』の短編集。

拝啓。一つだけ教えてください。困っているのです。

 青空文庫にも公開されている短い短編なので、トカトントンの意味が分かると思います。

 

 

さて、今回紹介する本は

『図書室のキリギリス』 竹内真  双葉社

図書室のキリギリス (双葉文庫)

図書室のキリギリス (双葉文庫)

www.amazon.co.jp

 

 あらすじは、行方不明になったため夫と離婚した詩織。就職先をとりあえず探せば、教員の友人から学校司書を薦められ、思わず働くことになった。

 学校司書の実情の苦しさを触れながらも、高校生との交流や本、映画を交えながら詩織は自分の役割を見つけ出していく。

 

 久しぶりに楽しく読めました。なんといっても、出てくる映画と本は私が好きなものばかり、特に映画の『フック』は子供時代に見てすごくおもしろかった作品で、また改めて観てみたいと思うし、『ショーシャンクの空に』は言うまでもなく名作の一つですね。でも、他にも読んだことのない作品とかいっぱいあったので、ぜひ読みたいです。

 ほかにも詩織と本をめぐって高校生たちの交流に、癒される。人に本を紹介するのは少し勇気がいるものですが、それを紹介して、何か変わったらならとても素敵なことだなと思います。本好きとしては。

 

 鬱々とした日々に読んで、続編もあるというので、今から図書館に走ろうと思います。トカトントンと聞こえてきて、何もする気力もなかった私に、ブログ更新をさせ、図書館に走らせる本の力はすごいなと改めて思ったところです。

 では、いってきまーす。

 

 それではみなさん、ごぎげんよう。

 

 

 

 

 

 

23冊目。いつの間にか2月末に。出水の鶴は今年も万羽です。~ある男~

 お久しぶりです。

 バタバタしていたら、更新が4か月ほどさぼっていることに気づきました!

本もあんまり読めていないのも事実で、毎年年末に読んだ冊数を反省しますが、年間100冊を目指していますが、2018年は70冊。全然読めてない。

 今年こそはと思いながら、1月は4冊。うーん、スロースタートということにしましょう。

 

 出水の鶴の万羽今年も来ました。そして、もうそろそろ温かくなってきたので、帰る時期にもなってます。寂しくなりますが、雪国では「雪が解けると春になります」と言いますが、出水では「ツルが帰ると、春になります。」と言います!(私だけかもしれない)

 

さて、今回紹介する本は、

『ある男 A MAN』 平野 啓一郎 文藝春秋

https://www.amazon.co.jp/ある男-平野-啓一郎/dp/4163909028

 

 平野啓一郎さんの作品は2作しか読んでいませんが、言葉の表現力が素晴らしく、地の文の言葉の選択、そしてなにより表現が美しいと感じます。

 前作の『マチネの終わりに』をアメトーク読書芸人の番組で紹介されていて、気になって読んでみたらとてもよかったので、それから注目していた作家さんだったんですが、過去作を読まずにずるずるとしていたら、新作が出たのでそれを読んじゃいました。でも、読まなきゃと思ったのは、2019年本屋大賞にノミネートされたからもあります。

 

 この作品のあらすじは、弁護士である城戸が、以前離婚相談を受けていた里枝から奇妙な依頼を受けることから、物語は展開していく。再婚した夫である谷口大祐が事故で亡くなり、悲しみを引きずったまま一年忌に夫の家族に連絡を取るが、その夫が別人であることが分かり、里枝は混乱し、以前お世話になって信頼できる弁護士の城戸を頼り、城戸が谷口大祐の全貌を明らかにしていくという物語。彼はなぜなりかわって生きていたのか、そして、誰を愛していたのか。人は何を愛するのか。

 里枝の家族や、城戸の家族、そして、ある男の家族の物語を絡めあいながらつむぐ物語は絶妙で、展開も面白いし、そして考えさせられました。過去は変えたくても変えられないということをひっくり返し、過去を変えてどう生きるか、どう生きたいか。

 

「未来のヴァリエーションって、きっと、無限にあるんでしょう。でも、当の本人はなかなかそれに気づかないのかもしれない。僕の人生だって、これから誰かにバトンタッチしたら、僕よりもうまく、この先を生きていくかもしれないし。」

 

 過去はもうどうしようもなく、変えられないけど、未来がその過去を楽しい思い出に変えることは出来ると私は思っています。だから、過去を後悔するのではなく、今を一生懸命生きるという平凡な答えに尽きると考えて、今頑張っていきたいと思います。

 

 

それではみなさん、ごきげんよう

 

 

22冊目。もうツルが来ました。~世界のなかで自分の役割をみつけること~

お久しぶりです。

仕事が忙しいとかああだこうだと言ってブログをさぼっておりました。

そしたら、もういつの間に出水にもツルが来る時期になっていました。

今年も来ています。これから続々とやってきます。

今年は何匹来るかな。

そうそう、毎年恒例のツルマラソンも今日無事に行われました。

 

 

さて、今回紹介する本は

『世界のなかで自分の役割を見つけること 最高のアートを描くための仕事の流儀』

小松美羽 ダイヤモンド社

https://www.amazon.co.jp/世界のなかで自分の役割を見つけること――最高のアートを描くための仕事の流儀-小松-美羽/dp/4478104522/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1540129467&sr=1-1&keywords=%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E7%BE%8E%E7%BE%BD

 

 大英博物館(行きたい!)で作品が展示されたりと帯のとおり、最も注目されている現代アーティストの小松美羽さんの人生論が書かれた本。

 HONZ

honz.jp

で紹介されていたのを見て、小松さんを知りましたが、作品を調べるうちに衝撃を受けました。

こんな作品は見たことない。

どこかグロテスクで気味が悪いと思う人も多くいるかもしれませんが、私は驚愕しながらも飽きるまで作品を眺めていました。本にも書かれていたのですが、作品に日本古来の神様が描かれていると感じる奇妙な感覚に陥る。

ということで、さっそくこの本を探して買いました。独特の感性で理解されるのが難しくて苦労していますが、それにも負けず絵が好きでその感性を突き通す信念が凄く驚かされます。

私は特別な選ばれらし人間ではない。

誰もが役割を持っていて、私はたまたま、

それに早く気が付くことができた、

ただそれだけだ。

あなたが世界の中の自分の役割に気づき、

それを果たす生き方をする。 

 かっこいい。

 

私は色々挫折してしまって、自分に誇れるものがない。

好きだったことを辞めてしまったことに後悔している。

でもそれを続けることができなかったことは、それまでのことだったのだと思って諦めている。でもどこか引きずっている。

そして今うだうだ考えて、色々してはいるけど、全然続いていないのは確か。

うーん。

私の果たす生き方ってなんだろう。

そう考え続けて、見つけることがきっと人生の意味を見出すことなのかもしれない。

そうかもしれながいが、難しい。

難しいけど、それが面白いのかもしれない。

 

それではみなさん、ごきげんよう

 

21冊目。まだまだ暑い。~六花の印 連城三紀彦傑作集1~

どーも。

お久しぶりです。

皆様どうお過ごしでしょうか?

夏休みが終わりそうですね。私は宿題を早く終わらせたい派だったので、宿題は大体夏休み2週間ぐらいで終わっていました。

無駄に理科の自由研究に力を入れていたのを覚えています。

 

話は変わりますが、

最近のニュースで驚いたのは、

さくらももこさんが亡くなったことですね。

ご冥福をお祈り申し上げます。

 

さて、今回紹介するのは、

『六花の印 連城三紀彦傑作集』創元推理文庫

https://www.amazon.co.jp/六花の印-連城三紀彦傑作集1-創元推理文庫-連城-三紀彦/dp/4488498116/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1535461662&sr=1-1&keywords=%E5%85%AD%E8%8A%B1%E3%81%AE%E5%8D%B0

 

 本当に今更ながら、連城三紀彦さんを初めて読みました。

 読んだきっかけは、母が昔すごく好きでサインをもらいに行ったことがあるということをチラリと聞いたのが始まりでした。そして最近本屋に行ったら、ちょうどこの傑作集が発売されていたので思わず買ってしまいました。

 この本の最初の感想は、なぜもっと早くに読んでいなかったのかという後悔。

面白く、面白すぎて一気読みしたいところを抑え、一つ一つの文を噛みしめながら、いつもよりゆっくりと読みました。この短編集が織り出す雰囲気をじっくりと味わいながら、読み終わってしまう名残惜しい作品は久しぶりでした。

 ミステリーにおける謎が美しく、さらにその物語の余韻が漂い続ける。私好みでした。連城三紀彦さんの作品をまだ読んだことない人はぜひおすすめします。

 

 この傑作集は、続きの2が冬に刊行予定のようですが、その前に私は図書館に行って連城三紀彦さんの作品をむさぼっているかもしれないです。そういう人を見かけたら、それはきっと私です。

 

みなさんにとって、素敵な本との出会いがあることを祈っています。

 

それでは、ごきげんよう

 

 

 

 

 

20冊目。暑い!~アウシュヴィッツの図書係~

どーも。お久しぶりです。

どうしても更新が遅くなります。仕事で忙しいというのが大きいですが、

今更ながら小野不由美さんの『十二国記シリーズ』にはまって一気に読み終わったり、

スターウォーズの『ハンソロ』や『ジュラシックワールド2炎の王国』などの映画を観に行ったりと、仕事の隙間を見つけては楽しんでいるのも確かです。

 

鹿児島県出水市では、雨の影響はそこまでなく、すくすくと稲が成長しています。雨の影響で、他県が大変なことになっていましたが、今度は暑さが大変。ニュースを見るたびに、40度近くが当たり前になっているって、とうとう日本どうかなっちゃったんじゃないかなと不安に思っているところです。

 

外は暑いので、家で過ごすなら、ぜひ読書を!ということにしときましょう。

 

さて、今回紹介するのは十二国記ではなく、

アウシュヴィッツの図書係』アントニオ・G・イトゥルベ 訳:小原京子 集英社

 

https://www.amazon.co.jp/アウシュヴィッツの図書係-アントニオ-G-イトゥルベ/dp/4087734870/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1532262730&sr=8-1&keywords=%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%84%E3%81%AE%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E4%BF%82

 

 アウシュヴィッツがこんなにもすごい酷く惨い状態であったのを初めて知ってことのあったり、それ以上にこの話は、実話を交えて小説になっているという事実を読み終わった後に知って、本当に驚きました。

 人が簡単に死ぬ状況の中で、どう自分たちを保ち続けて生き続けるのか。強く生きたとしても、他人に簡単に命を奪われてしまう。この状況の中、満足の食事も寝床も与えられず、強制労働をさせられ、今の日本の状況から考えもつかないような世界で、でも、実際あったと考えると、いや想像もつかない。

 その中で、本が禁じられていた中、ディタは唯一存在する図書を守り、みんなに提供する。物語が人を救うこともある。たった、字が書いてあるだけなのに、それが人の心を揺さぶり、勇気づけれられたり、慰めてくれたり、元気づけたりと色々なことを教えてくれる。物語、本とは不思議な文化だとつくづく感じました。

 

 本離れといわれているが、読む人は決していなくならないと私が思うのは、こういう状況でも、人は本を求めて読む人がいる。これから、爆発的に本が売れる時代が来るということは絶対ないとは、思えない。

 

 

それでは、ごぎげんよう。