7冊目。鶴さんまたね。~なんらかの事情~
お久しぶりです。
もう2月が終わろうとしています。
出水の鶴もシベリアにどんどん帰って行っているところです。
鶴が帰る時期、そして温かく良く晴れた日に。
出水に来ることがある人は、ぜひ空を見上げてください。
空高くゴマ粒のような鶴たちが悠々と円を描いて、旋回しているのが見えます。
長くいた出水を恋しく淋しく、そして別れをつげるように風に乗って、シベリアに帰る姿を見ることができます。
毎年その光景をみると、ああもう春来るんだなと感じます。
雪が解けたら春になりますというように、
出水では鶴が帰ると春になります。という感じ。
さて、今回紹介する本は、
エッセイなのか小説なのかこの人は一体何なんだ!と叫びたくなるような
『なんらかの事情』岸本佐知子
岸本佐知子さんは翻訳家で(翻訳した本は読んだことないですが)、なにかラジオで誰かが不思議な本であるということで紹介していたのを覚えていて、図書館で見つけて読みました。去年文庫になったことを知った時は即買いしました。
私も日頃、こうすればおもしろい、ここでこんなことをしたら面白いだろうかと妄想する方ではあるけれど、岸本さんの妄想力の発想に比べたら、ありんこのようです。
最初は共感を持てるような、あるあると思うことが多くあるのだけど、岸本さんはそのあるあるから思う感じることが飛び抜けていて、最後の着地点が地球の裏側に、いや、月の裏側に着いてしまったといっても過言ではない。
死ぬ間際には、それまでの人生の思い出が走馬灯のように目の前に立ち現れるとよく言われる。
その走馬灯の準備を、そろそろしておいた方がいいのではないかと最近思うようになった。
一文目を読めば普通に感じるが、その二文目は逸脱している。
最初はエッセイのように感じていたら、いつの間にか摩訶不思議な世界の小説を読んでいたように感じるよう言う作品です。
このような話がいっぱい詰め込まれていますので、現実のつまらなく、絶望、疲労がたまったら、ぜひ読んでみてください。
思考が一転するかもしれません。
それでは、ごぎげんよう。