鶴の本返し

基本読書日記。たまに鶴の渡来地、鹿児島県出水市からの徒然日記。

23冊目。いつの間にか2月末に。出水の鶴は今年も万羽です。~ある男~

 お久しぶりです。

 バタバタしていたら、更新が4か月ほどさぼっていることに気づきました!

本もあんまり読めていないのも事実で、毎年年末に読んだ冊数を反省しますが、年間100冊を目指していますが、2018年は70冊。全然読めてない。

 今年こそはと思いながら、1月は4冊。うーん、スロースタートということにしましょう。

 

 出水の鶴の万羽今年も来ました。そして、もうそろそろ温かくなってきたので、帰る時期にもなってます。寂しくなりますが、雪国では「雪が解けると春になります」と言いますが、出水では「ツルが帰ると、春になります。」と言います!(私だけかもしれない)

 

さて、今回紹介する本は、

『ある男 A MAN』 平野 啓一郎 文藝春秋

https://www.amazon.co.jp/ある男-平野-啓一郎/dp/4163909028

 

 平野啓一郎さんの作品は2作しか読んでいませんが、言葉の表現力が素晴らしく、地の文の言葉の選択、そしてなにより表現が美しいと感じます。

 前作の『マチネの終わりに』をアメトーク読書芸人の番組で紹介されていて、気になって読んでみたらとてもよかったので、それから注目していた作家さんだったんですが、過去作を読まずにずるずるとしていたら、新作が出たのでそれを読んじゃいました。でも、読まなきゃと思ったのは、2019年本屋大賞にノミネートされたからもあります。

 

 この作品のあらすじは、弁護士である城戸が、以前離婚相談を受けていた里枝から奇妙な依頼を受けることから、物語は展開していく。再婚した夫である谷口大祐が事故で亡くなり、悲しみを引きずったまま一年忌に夫の家族に連絡を取るが、その夫が別人であることが分かり、里枝は混乱し、以前お世話になって信頼できる弁護士の城戸を頼り、城戸が谷口大祐の全貌を明らかにしていくという物語。彼はなぜなりかわって生きていたのか、そして、誰を愛していたのか。人は何を愛するのか。

 里枝の家族や、城戸の家族、そして、ある男の家族の物語を絡めあいながらつむぐ物語は絶妙で、展開も面白いし、そして考えさせられました。過去は変えたくても変えられないということをひっくり返し、過去を変えてどう生きるか、どう生きたいか。

 

「未来のヴァリエーションって、きっと、無限にあるんでしょう。でも、当の本人はなかなかそれに気づかないのかもしれない。僕の人生だって、これから誰かにバトンタッチしたら、僕よりもうまく、この先を生きていくかもしれないし。」

 

 過去はもうどうしようもなく、変えられないけど、未来がその過去を楽しい思い出に変えることは出来ると私は思っています。だから、過去を後悔するのではなく、今を一生懸命生きるという平凡な答えに尽きると考えて、今頑張っていきたいと思います。

 

 

それではみなさん、ごきげんよう