鶴の本返し

基本読書日記。たまに鶴の渡来地、鹿児島県出水市からの徒然日記。

8冊目。鶴はまだいます。〜困っているひと〜

 

ども。

3月というなんか聞いただけで忙しくなるような時期になりました。

出水の鶴はまだのんびりしているのもいます。大半はシベリアに帰っているようですが。

と、こんな忙しい時期に休んでいます。健康が一番です。ほんと。

こういう時いつもない休日の予定が珍しく詰まっており、すべてキャンセルです。最悪。

仕事も本当にキツイので休んだら、上司から嫌味を言われ思わず泣いてしまいましたが、今開き直って漫画読みまくりです。キツいんですけどね。

 

さてさて愚痴が止まらなくなるので本の紹介を。

『困っているひと』大野更紗

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元気に世界を飛び回っていた人が突如"難病"という世界迷い込んでしまう話。それを面白可笑しく書いているのだが、現実は笑えない。

お尻が溶けたり、ソーシャルワーカーさんにフラれたり、難病申請や身体障害者手帳を申請したりと治療だけでなく社会福祉の実情も描かれる。

残酷かつ絶望の世界

しかし、面白可笑しくエッセイ書いちゃうからおそろしや。

 

健康が当たり前の世界に住んでいる方、ぜひ読んでみてください。

 

それではごきげんよう

 

 

7冊目。鶴さんまたね。~なんらかの事情~

お久しぶりです。

もう2月が終わろうとしています。

出水の鶴もシベリアにどんどん帰って行っているところです。

鶴が帰る時期、そして温かく良く晴れた日に。

出水に来ることがある人は、ぜひ空を見上げてください。

空高くゴマ粒のような鶴たちが悠々と円を描いて、旋回しているのが見えます。

長くいた出水を恋しく淋しく、そして別れをつげるように風に乗って、シベリアに帰る姿を見ることができます。

毎年その光景をみると、ああもう春来るんだなと感じます。

雪が解けたら春になりますというように、

出水では鶴が帰ると春になります。という感じ。

 

 

さて、今回紹介する本は、

エッセイなのか小説なのかこの人は一体何なんだ!と叫びたくなるような

 

『なんらかの事情』岸本佐知子

ちくま文庫 2016年3月10日発行 筑摩書房

 

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岸本佐知子さんは翻訳家で(翻訳した本は読んだことないですが)、なにかラジオで誰かが不思議な本であるということで紹介していたのを覚えていて、図書館で見つけて読みました。去年文庫になったことを知った時は即買いしました。

 

 私も日頃、こうすればおもしろい、ここでこんなことをしたら面白いだろうかと妄想する方ではあるけれど、岸本さんの妄想力の発想に比べたら、ありんこのようです。

最初は共感を持てるような、あるあると思うことが多くあるのだけど、岸本さんはそのあるあるから思う感じることが飛び抜けていて、最後の着地点が地球の裏側に、いや、月の裏側に着いてしまったといっても過言ではない。 

 

 死ぬ間際には、それまでの人生の思い出が走馬灯のように目の前に立ち現れるとよく言われる。

 その走馬灯の準備を、そろそろしておいた方がいいのではないかと最近思うようになった。

 

 一文目を読めば普通に感じるが、その二文目は逸脱している。

 最初はエッセイのように感じていたら、いつの間にか摩訶不思議な世界の小説を読んでいたように感じるよう言う作品です。

 このような話がいっぱい詰め込まれていますので、現実のつまらなく、絶望、疲労がたまったら、ぜひ読んでみてください。

思考が一転するかもしれません。

 

 

それでは、ごぎげんよう。

 

6冊目。いつの間にか過ぎる、そして新しい年。~百万ドルをとり返せ!~

お久しぶりです。

鹿児島県出水市、相変わらずツルが来てます。

鳥インフルの恐れがあるから、常に観察しているようだけど、今のところは大丈夫そう。

 

さて、2016年がいつの間にか終わってしまいました。年末に仕事のピークで、年始にようやく落ち着きました。

年始めに江戸川乱歩を読んだせいで、初夢は変な夢になってしまったのはまた今度。

 

 

さて、2017年の初めの一冊。

『百万ドルをとり返せ!』

 

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昔、海外ドラマがあって、それが意味も分からず見ていたと思うけど、面白くて。その原作をようやく読みました。

 

株で騙された4人が100万ドルを取り返す話。

やられたらやり返す、倍返しだ!ということでなく、取られた分をきっちり取り返す計画を立てる話。

 

「われわれは株式詐欺のプロであることがわかった知能犯に金を盗まれました。われわれは株のことはよく知りませんんが、みなそれぞれの分野におけるプロです。そこで、みなさん、ぼくは盗まれた金を盗み返すことを提案します。

1ペニーも多くなく、

1ペニーも少なくなく、です。」

 

この赤の他人だった4人の計画と、そのストーリー展開がすごく良い作品。ラストに近づくにつれてすごく面白くなって目が離せれない。

 

さて、自分も

面白く挑戦したい2017年にします。

 

それでは、ごきげんよう

 

 

 

 

 

5冊目。もういつの間にか11月下旬。~〆切本~

 お久しぶりです。

書こう。書こう。と思っていたら、仕事が忙しくなり、寒くなり、いつの間にか

鶴が来ていました。

出水には相変わらず、万羽のツルがきています。

近くに住んでいるので、鶴の声で起きています。

贅沢なのか、やかましいのかはよくわかりませんが、出水では普通のことです(笑)

 

さっそく今回紹介するの本は、

出水の本屋には置いてなくて(泣

ちょっとばかし東京に行った時に買いました、

 

『〆切本』

左右社 2016年9月20日発行

 

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まさかこの前の読書芸人のアメト――クで、カズレーサーが面白そうと手にしていた本です。

私はもうすでに読み終わっていました。

なんといっても、手に取りたくなるような表紙の装丁の素敵なこと。

内容は締め切りに追われた作家の面白おかしく書いているのかなと思ったら、大違い。

大真面目に作家たちが〆切について語っている。

私たちが仕事で追われてイライラしているように、作家たちも〆切というプレッシャーで追われているのを見ると、やはり作家も普通の同じ人間なんだなと思う、作家を身近に感じる作品。

昔から最近の作家まで。

私の好きな江戸川乱歩さえも載ってました。

 

 

乱歩さん、仕事しすぎです。

  

私も鬱々している場合ではないな、乗り越えていかなくては。

 

それでは、ごきげんよう。

 

4冊目。台風がすぎたら秋になった。~ご冗談でしょう。ファインマンさん~

どーも。御無沙汰です。

試験を受けるために猛勉強中で読書禁止令が発令していました。

といいながら、何冊か読んでしまいましたが。

 

ようやく試験が終わり、束縛から解禁されました。

 

ということで、さっそく本の紹介をしまーす。

 

 

『ご冗談でしょう、ファインマンさん』

 岩波文庫 R.P.ファインマン著 大貫 昌子訳

 英訳 『Surely You’re Joking, Mr.Feynman!』

 

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 誰っていう人もいるかもしれないけど、ノーベル物理学賞受賞者、リチャード・フィリップス・ファインマンの自伝。そして、日本人なら誰でも知っている原爆の作成者の一人でもあります。

 

 一体、どういうに人かというと、ノーベル賞を取るぐらいだから、もちろん頭がいい。小さいころから分解や発明に興味があって、壊れたラジオを全部分解して直してしまうくらいだ。

 

 そして、この本の魅力の一つ。

 

 ファインマンさんのイタズラ。

 

 読めば分かるはず。

 金庫や検閲のイタズラは面白すぎ。

 

 あと有名な話らしいが、ノーベル賞を受賞を拒もうとするから、おかしすぎる。

 

 見た目はおとな、頭脳は子ども!そんなかんじだ。

 

これを読むと、世界はつまらないなと感じるとき、それは自分次第なんだなと思う。

 ファインマンさんはなんでも好奇心を持って、面白いことをとことん追求している。

 面白くないなら、面白いことを探して一生懸命する。

それが人生を楽しくさせる秘訣なのかもしれない。

 

 

死に間際に口にした言葉がファインマンさんらしい。

I'd hate to die twice. It's so boring.

「2度と死ぬなんて、まっぴらごめんだよ。全くつまんないからね。」

 

最後まで、どこまでも人生を楽しんでいる。

そんな人になりたい。

 

それでは、ごきげんよう。

3冊目。鹿児島の北部も暑い。~幻獣ムベンベを追え~

どーも。

鹿児島の北部に位置するのが出水市なのですが、もう暑い。

暑い。

毎日溶けかかっています。ええ、ドロドロに。

梅雨がいつの間にかあけていて、もうすっかり夏。

 

出水市は田舎で(知っている人もいると思うけど)

「田舎」という漢字にも使用されているように田んぼが一面に広がっている。

今の時期は青々と成長中。

一面の青になって、

風が見える瞬間がわかる。

この一瞬をみると、「となりのトトロ」の猫バスのシーンを思い出んですよね。

ジブリも綺麗なシーンだけど、現実の方がもっと綺麗です。

海も山もいいですけど、

田んぼもいいよん。

 

 

 

さて、今日の紹介本は

『幻獣ムベンベを追え』

高野秀行集英社文庫)

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私はこの高野秀行さんの辺境シリーズが好きで、

このシリーズを語るにはもちろん第1作目を語らないと始まらない。

 

辺境というのは、中央から遠く離れた国境とか、国の果てとか説明されているけれど、

この人の辺境というのは、

「世界の果て」

いや、

「常識の果て」

と言った方が良いかもしれない。

 

アマゾンを上流と下流から分かれ旅したり、禁酒であるイスラム教国で酒を求めて飲んだくれになったり、怪魚を探すために国境を超えようとしたら、ブラックリストに載っていたため(著者が)国境を越えられなくて、捕まったりと、完全にふざけている。

だけど、それが面白い。

 

馬鹿だな阿保だなとか思うけど、

バカにしているわけじゃない。

けっして。

 

これは、この人しかできない。

高野さんにしかできない。

 

本は経験できないことを補うためのものというのであれば、絶対、

高野さんの辺境シリーズを読むべき。

 

 

さて、シリーズの一作目は高野さんの大学時代に

幻獣ムベンベを探しにアフリカのコンゴまでいく話。

これだけ聞いただけで、面白いでしょ。

 

そして、この集英社文庫の解説にあの宮部みゆきさんがこう書いている。

 

普通行かないぞ。コンゴまで。だいたいコンゴってだいたいどこにあるんですか?

 

本書を読んでいただければ一目瞭然ですが、目的地にたどり着くまでの苦労がまず半端じゃない。それだけで十分に冒険的ですよ。数え切れない障害を乗り越えて、しかし彼らは出かけていった。

 

何しに?

幻の怪獣を探しに。

もう一度言います。

普通、行かないぞ。

 

宮部さんをここまで唸らせる。

彼らは怪獣探しに大真面目に突き進むのだ。

 

彼らは怪獣に出会うことができるのか?

 

それは読んでみてからのお楽しみってことで。

 

では、ごきげんよう。

 

 

 

 

2冊目。梅雨明けはまだ。~砂漠~

どーも。

梅雨明けしたように、暑い夏日が続いている出水からお送りしています。

天気が悪いと思って、日焼け止めを塗らずに日中外に出ていたら、

干からびてしまった本の虫です。

 

 

さてさっそく、今日は 伊坂幸太郎さんの「砂漠」です。

 

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大学に入る前や入った当初に読んでほしい作品。

青春って言うほどキラキラしているわけでもないが、でもどこか楽しげで羨ましい大学時代を送っている男女の物語。

 

大学入ると時間が余るのか、男子は必ずハマる麻雀。その麻雀は東西南北で分かれてすゲームみたいだけど(私はよくしらないです。笑)

 

その東西南北ということで、

名前に「東」「西」「南」「北」が含まれる生徒を集める鳥居の奇妙な行動に巻き込まれた4人。

冷静に人を遠くから観察している、北村。

雑誌モデル並み美人で、東堂。

大人しいがいつもニコニコしている、南。

破天荒だがまじめな西嶋。

 

そんな彼らが紡ぎだす、普通のような変わっている大学生活の物語がいい。

 

この作品の名前の由来になった西嶋の言葉

「その気になれば、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」

 

このほかにも西嶋の言葉が何気にいい。

 

破天荒な西嶋の行動に周りの常識が覆されて、巻き込まれるのが、この物語。

 

ぜひ読んでみてくださいな。

 

 

ちなみに私は伊坂幸太郎さんの作品でハマったきっかけの作品は「陽気なギャングが地球を回す」です。よかったら読んでみてください。

 

では、ごきげんよう