鶴の本返し

基本読書日記。たまに鶴の渡来地、鹿児島県出水市からの徒然日記。

33冊目 暑すぎる 〜蟬かえる〜

こんにちは。

 

暑いですね。暑すぎて。

まだ6月なのに、これから先の7月、8月がどうなることやら。

引きこもりがちなので、涼しい室内から出ることを頑張ります。

 

さて、今回紹介する本は、

『蟬かえる』櫻田智也 東京創元社

蝉かえる (ミステリ・フロンティア) | 櫻田 智也 |本 | 通販 | Amazon

 

昆虫好きの魞沢泉が、昆虫を求めて旅をつづけていると、なぜだが事件も起きてしまう。ミステリー。短編集。

シリーズ2作目なので、

ぜひ、1作目の『サーチライトと誘蛾灯』 

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫) | 櫻田 智也 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

も読んでほしいです。

 

1作目では、とぼけた役で登場し、一番怪しい魞沢泉が、

2作目の『蝉かえる』では、友人に会ったり、昆虫探したりして、相変わらず事件に巻き込まれていく。

 

事件に巻き込まれながら、悲しみをこえていったり、友人が増えたりと魞沢泉の優しさがなんだか落ち着きます。

 

「たしかに、願わなくても明日はやってくるでしょう。

でも、明日がくることと、ぼくに明日があることは、同じではないのです。

 

この言葉がとても印象に受けました。

 

1日1日苦しいこともいっぱいある。

けど、1日1日、一生懸命に生きて、後悔しないように過ごさないといけない。

 

と思いながら、だらだら過ごしているので、本当に気をつけます。

でも、だらだら過ごすことも大切かなと。

 

もちろん、だらだら過ごしてばかりはよくないですよね。

 

 

みなさん、熱中症には気を付けてください。

 

それでは、みなさん、ごきげんよう

 

 

 

 

 

32冊目 引きこもり生活 ~N~

暑くなり、そろそろ夏になり始めています。

そのせいか、最近風邪を引いてから、頭痛がひどく、引きこもり生活を送っています。

美味しいもの食べて、良く寝ているのですが、

体の不調が治らず、日々、鬱々とネガティブなことばかり考えてしまっていました。

 

趣味の本や映画を見ても心が晴れなかったのですが、

意外にもすこし外に出たら、気分転換になりました。

そういう時もありますよね。

コロナ禍ではありますが、制限がなくなってきているので、

そろそろ外に出ていこうかなと思い始めたこの頃です。

 

さて、今回紹介するのは、

『N』 道尾秀介  集英社

 

 

Amazon.co.jp - N | 道尾 秀介 |本 | 通販

 

 

6つの物語を読む順番を読者にゆだねた作品。

物語はどこか繋がっていて、読む順番で、読者の中における主人公がどの人になるのか、ラストがどの物語になるのかが変わってくる面白い作品でした。

私の読む順番では、何処か寂しい余韻を残した作品になりました。

皆さんはどうでしょうか?

 

読む順番を色々試したくなるように、交互に作品がさかさまになっているので、

すこし読みにくくなっているところもありますが、楽しかったです。

私は通常の順番ではなく、読んでいたので、危うく一つの物語を読みそこないそうでしたが。

 

道尾さんは、『向日葵の咲かない夏』や『カラスの親指』などを昔読んで、

私の中で少し苦手意識を持ってしまい、最近は呼んでいなかった作家さんになります。

でも今回のおもしろい試みと物語の雰囲気が、ようやく自分の中で消化できるようになったので、これから、また読んでいきたい作家さんの一人に加わりました。

 

読みたい作家さんがどんどん増えていく中、

過去呼んだ本を読み返し、好きな作家さんの新刊を買っていく。

 

どんどん積み本ばかりになっています。

そんなことにならないようみなさん、気をつけてください。

 

それでは、みなさん、ごきげんよう

 

 

31冊目 春 ~ペッパーズ・ゴースト~

突然、春が来てしまって、体が上手く順応してない日々を送っています。

皆様、体調は崩されていないでしょうか。

 

鹿児島ですので、春と言っても夏に近い暑さで困っています。

唯一、朝だけは春のような少し寒さがあるから余計に厄介です。

昼と朝との温度差に、どのような服がいいのか、毎朝、大変です。

 

さて、今回紹介するのは、

『ペッパーズ・ゴースト』 伊坂幸太郎 朝日新聞出版

[伊坂 幸太郎]のペッパーズ・ゴースト

ペッパーズ・ゴースト | 伊坂 幸太郎 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

 

中学国語教師の檀。

代々受け継がれている特殊能力、ある条件下で他人の明日が見える。

その能力を隠しながら、生徒の自作の小説、奇妙な二人が活躍する物語を不気味に感じながら、生徒を傷つけないように感想を伝える平凡な中学教師の日々を過ごしていた。

 

ある日、一人の生徒の明日の未来を見てしまい、悲劇な明日にならないように、必死でその未来を変えることに成功する。

しかし、その生徒の父親に疑われてしまい、檀は次第に大きな事件へと巻き込まれてしまう。

 

伊坂幸太郎さんは、追いかけている作家さんの一人で、このブログでも良く紹介しています。

今回も伊坂幸太郎ワールドのエンターテインメントで、最初は関係ないようなことでも、物語が進むにあたり、どんどんすべてが巻き込まれていく展開が面白い。

 

今回は、ニーチェの言葉を引用して進む作品で、

ニーチェをあまり知らないで人でもニーチェを分かるようになる。私のように。

 

ニーチェの「永劫回帰」について、描かれているシーンが印象的でした。

どうにもならないことはどうにもならない。忘れるしかない。

父の言葉を思い出した。が、どうにもならない、と諦めてしまったら、

私は永遠に、あの罪の意識と無力感から解放されないのではないか。

どうにもならない、ではなく、どうにかしなければいけない。

逃げていいのか?

この人生を永遠に繰り返すとしたら。ニーチェの話を思い出した。

ここで逃げてしまった人生を、もう一度!と思えるだろうか。

 

 

檀先生よりも、ネコジゴハンターの二人面白すぎて、良いんですが、ここで話すとネタバレになりそうですので、ぜひ、読んでみてください。

 

そうそう、

春が二階から落ちてきた

という冒頭が印象的な作品。

『重力ピエロ』伊坂幸太郎さんの作品もおすすめです。

 

では、ごきげんよう

 

30冊目 相変わらず久しぶりの更新 ~また、桜の国で~

お久しぶりです。

最近思いつくときに書いているせいか、更新がなくて申し訳ないです。

鹿児島県出水は、鶴もいつもどおりきて、もう、シベリアにお帰り中です。

ソメイヨシノよりも早く咲く桜はなんて言うんでしょうか。

勝手に私は山桜と呼んでいますが。

山桜が咲き終わりになっているところです。

 

やっぱりコロナで外出しづらいので、引きこもり生活です。

引きこもりは得意でして、映画みたりドラマ見たり読書したり。

逆に忙しく生活しています。

本を年間100冊読むと目標にしていたのですが、全く達しないので、

今年は月5冊を目標に読み始めています。

お陰で、5冊達成していないので、月末(現在)は大忙しで。

2月は5冊読み切って、とりあえず一息ついています。

読みかけの本はひとまず休憩して、読み終わらないように注意しながら、

来月に持ち越ししたり、せこいことをし始めているので、来年はこの目標を止めることにします。

 

さて、今回紹介する本は、

『また、桜の国で』須賀しのぶ 祥伝社文庫

また、桜の国で (祥伝社文庫) | 須賀しのぶ |本 | 通販 | Amazon

 

ロシア人の父を持ち、日本で生まれ日本で育った、棚倉慎。

幼い頃にシベリアで保護されて来日していたポーランド孤児と出逢ってから、心にずっと残っていた。

大人になり、ワルシャワポーランド日本大使館に着任することになり、

ポーランド祖国に帰った孤児たちによる極東青年会と協力して過ごしていた。

戦争により地図から消えたポーランド

幼い頃に出会ったポーランド孤児の影を追いながら、棚倉慎は、

ナチスドイツの侵略が次第に始まり、戦争へと巻き込まれていく。

 

『革命前夜』という作品で、須賀しのぶさんを知ってはいたのですが、

ふと目にとまったので、この作品を読みました。

 

ポーランド孤児のこと、ポーランドの国という歴史をこの作品に触れることができ、

勉強になったし、現在起こっている、ウクライナとロシアの状況のこともあるので、

改めて「戦争」ということを考えることになりました。

列強の国の間にある国は、おそらく、周りの国の顔色を伺いながら、

不安にしながら生きていかないのいけない。

日本は、国と繋がっていない、島国なので、

もし、陸続きだったら、きっともう存在しないかもしれない。

そう思うと怖くなってしまいました。

 

「人が歩んだ歴史は一つだが、その姿は見る者の数だけ存在する。

 基本的な歴史は、強国によって語られる。

 呑みこんだ敗者について、思いを巡らせる者はあまりいない。

 呑み込まれた当事者以外はね。

 そして、その当事者だけが、イデオロギーや利害に関係ない

 最も素直な世界を見ることができる。」

 棚倉慎が父から言われる言葉で、ハッとしました。

 

 ニュースから伝わってくるものだけではない。

 それぞれ色々な人生のドラマがあるのだ。

 それが簡単な言葉で伝えられてまう。

 私たちは、その奥にあるものすべてを見据えなければいけない。

 

 なんだか大きく出てしまったので、今回はこれで。

 ごきげんよう

29冊目 久しぶりの更新 ~本心~

お久しぶりです。

まさかの1年半ぶりぐらいにブログを更新します。

 

コロナ禍の中、何処にも行けず、モヤモヤしていますが、

最近は、好きな作家さんが続々と新作を発表しているので、

読書が止まらない日々を送っています。

 

さて、今回紹介する本は

 『本心』平野啓一郎 文藝春秋

本心 | 平野 啓一郎 |本 | 通販 | Amazon

 

国の社会保障制度が崩壊し、自由死といういわゆる安楽死が合法化した近未来。

裕福ではないが、それなりに楽しく過ごしていた朔也と母。

しかし、母が突然自由死を望んでいるという話をして、喧嘩になり、不慮の事故で亡くなってしまう。

AIとVRの最新技術を屈指して、母を蘇らせた朔也。

母が、何故自由死を望んだのか、本心を知るために、

朔也自身の本心と向き合う。

 

近未来が、まさに起こりうる設定であり、主人公の葛藤しながらも、

成長していく様が本当に面白い。

じっくり読んでいきたい作品であったのに、一気に読み終わってしまった。

読みながら、自分もゆっくりと自分自身に向き合うことができる作品で、

何度も読みたくなる。

 

 

平野さんは、最近新作を読み始めている作家さんで、繊細な言葉や表現力がとても好みです。過去作も読んでいきたいと思っています。

 

このブログも更新していきたいと思います。

 

では、ごきげんよう

28冊目。久しぶりの更新~ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー~

 久しぶりです。11月にぞくぞく更新していたのが嘘のようです。忙しかったということもなく、それに読書をしていなかったということもないです。

 面白い本はいっぱい読んでいたので、気が向くままに更新していきたいと思います。

 ちなみに、鶴はもう帰って行きました。

 ウイルスにかからず、今年も平和に過ごしていたと思います。でも、今年は人に多くのウイルスがかかってしまって、一体これからどうなってしまうのやら。

 

 この突然の休みで、ぜひ、本を読んだ貰いたいと思います。

 私は仕事が休みであれば、江戸川乱歩横溝正史とかの全集を読みたいです。

 

 さて、今回紹介する本は、

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ 新潮社

 

https://www.amazon.co.jp/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー-ブレイディ-みかこ/dp/4103526815/ref=sr_1_1?hvadid=386488440939&hvdev=c&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%81%BC%E3%81%8F%E3%81%AF%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%81%A7&qid=1585055127&sr=8-1

 

 話題になっている前に気になっていたけど、話題になってやっぱり購入してしまった本。

 

 話題になるだけあります。面白い。

イギリスで、いわゆるおぼっちゃま小学校に通っていた著者の息子が、元底辺中学校に通うことになって色々な偏見とかに巻き込まれていくノンフィクションのエッセイです。

 その息子が壁にぶつかって悩んで考える姿が本当にすごい。

 

 偏見とかいじめとかは、大人の世界ではある程度目をつぶって無視するのが一般な対応だと思うんですが。たまに残酷なのもありますけど。

 息子はそれに真正面に向き合っていく姿、悩む姿、著者とのやり取りが良くて、本当に考えさせられる作品でした。

 

 長い休みに読む本の一つにしてください。

 

 それでは、ごきげんよう

 

 

 

 

27冊目。ぞくぞくぞく更新~傲慢と善良~

 読書の秋ということで、更新していますが。はい。予想通り、今後の更新は遅いでしょうね。どうなることやら。

 忙しくなるし。と思っているけど、それを理由にしたくないなといつも思っているけど、できてないです。

 

 さて、今回紹介するのは、

 『傲慢と善良』辻村深月 朝日新聞出版社

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 元カノが忘れられず、気づいたら40歳手前で独身の架。婚活をしてようやく気が合った真実と2年間付き合って、いざ結婚へ踏み出したときに、真実が忽然と姿を消す。直前にストーカーの話があったから、何かあったのか。一体、彼女はどこに行ったのか。

 

 30代独身で婚活している私にはぐさぐさ容赦なく言葉の鋭い針が刺さりました。

 でも、この容赦ない辻村さんの言葉が好きです。

 自分たちは気付いているけど、気づかないふりをしていることを、まっすぐ核心をついて言葉にして表現している。誰もが思うほんの些細な嫌なことだったり、嬉しいことだったりをすくって、言葉にしている。それを読むと、そういうことを思っているのは自分ひとりではなく、みんな一緒なんだなと少し安心することもあります。

 『かがみの孤城』はいじめ問題や不登校、『クローバーナイト』は子育てする大変さなど、いろいろな過程で誰もがちょっと思うことをきっと辻村さんは言葉にして、読者を針で刺したり、傷をいやしたりしてくれる。そういうストーリー展開もキャラクターのセリフも、本当上手い。 

 

 

 ちなみに、辻村さんは本の中で、婚活が上手くいく人をこう言っています。

「うまくいくのは、自分が欲しいものがちゃんとわかっている人です。自分の生活を今後どうしていきたいかが見えている人。ビジョンのある人」

 私、ビジョンないせいかと納得。確かに明確なビジョンがないままここにいる。

 

 ちなみに、現代婚活市場が上手くいかない人はこういう風に表現しています。

 「現代の日本は、目に見える身分差別はもうないですけど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。

 その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、“自分がない”ということになってしまう。

 傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう。不思議な時代なのだと思います。」

 この言葉にぐさりときました。傲慢。そう自分は傲慢なのかも。

 

 とりあえず、頑張りたいと思います。婚活を?いやいや、明確なビジョンをもつことをしっかりしていきたいと思います。

 

 それでは、みなさんごきげんよう